仕事とは「人に影響を与えること」。
そう話すのは小野瀬自動車の代表取締役社長・小野瀬征也(ゆきや)さん。

小野瀬自動車は、征也さんの祖父・徳男さんが戦争から戻り、でこぼこと足場の悪い道路を見て「これからの時代は車の時代だ」と感じたことから始まりました。元々下駄屋を営んでいましたが、全く別の業種である車の整備工場として1954(昭和29)年に創業しました。

—地域に根ざした企業の原点と歴史

祖父は、地域の中で整備一筋。2代目の父は、大学卒業後、大手メーカーに勤務し輸出関係業務を担当。その後Uターンし、友人と共に車の中古車販売、鈑金塗装、保険業務をスタートさせました。高度経済成長の波に乗り、最大85億もの業績を上げ、従業員は100名になりマツダ、フォルクスワーゲン、アウディなどのディーラーまで業務を拡大。しかし、バブルは崩壊。次第に業績が低迷、ディーラー権と共に社員を譲渡し、元の整備工場のみに事業を縮小。
征也さんが茨城に戻ったのは2016年6月。代表取締役として再スタートが始まりました。就任後、3年経たずして新車販売、鈑金塗装、レンタカー、レッカー、福祉車両、自動車保険とクルマに関わる事ならワンストップで解決が出来るようトータルカーライフサポート事業として次々に新サービスを開始しスタッフも当時の倍以上の25名になりました。

そんな征也さんは、高校を卒業後、都内の大学に進学。
「将来経営者になる」という意識は物心ついたころからあったのだそう。高校ではバレーボール、大学ではラクロスに挑戦。他の学校と交流して良いところを学び、足りないところを見つけ活かしていくという当時の方法は現在の会社経営にも生かされているといいます。「思い返せば、中学生のときから経験のある先生が顧問でもなくて、部活を通して組織論を学んだと思います」と征也さん。

—後継ぎとしての意識と大切にしていること

大学卒業後は、SMBC日興証券会社に入社しました。入社の理由は「短期間で営業力が身に付く」「経済・お金について学べる」「実力主義」「お客様が経営者」の4点でした。経営者になる上で「お金」について知っておく必要があると感じました。
そして東京で様々な業種の経営者と接する中で、経営者の悩みはお金のことより「人」だった事に気づきました。
入社して5年が経ち、社長表彰も取り、後輩の指導をしていく中で今の仕事は「下りてきた数字をどうこなすか」という仕事だと感じていったといいます。日々、経営者の話を聞いているうちに経営をするには「人」「組織」をもっと知らなくてはいけない」と感じるようになりました。
ある日、キャリアアドバイザーとして働く大学時代の友人と話していると「自分を通じて社会を、世の中をどう変えたいのか」というリクルートの考え方に今までに感じたことのない衝撃を受けました。改めて「自分は人生を通じて何を成し遂げたいんだろう」と考え、転職を決意。そのままリクルートキャリアへ入社。中途採用を支援する事業部へと配属となりました。

「転職後、一番印象的だったのはやはり最初に担当した10名ほどのアパレルのPR会社の創業社長。小規模な会社の中で、重要なポジションの人を採用したいという話でした」

人材を探し、面接のセッティング、同席を行い、無事に結びつける事ができました。ある時、その社長さんと話す中で、自分のことも話す時があって家業の話が出たんです。「地元で半世紀以上続いているということは、地域の中で必要とされているからよ」という言葉を掛けられました。
それまで漠然と「経営者になる」というイメージであったものが「継ぐ」という意味を改めて自問するようになりました。
それから、帰省の際に会社に飾ってある賞状や年季の入った建屋を見て、「今の自分は会社の中で変えがきくが家業は代えがきかない」と想いを強くしました。そこからは、リクルートでも自分の存在価値や存在意義を意識しながら対象企業を担当するようになりました。新規開拓事業からステップアップして、大手企業の中の仕事を担当するようになったことから、経営者だけではなく現場の技術者からも話を聞くようになりました。

仕事は相手があって成り立つこと。
例えば営業はお客様の要望を満たす商品やサービスを提案します。技術者は技術の力で安心安全を提供します。人事は働きやすい環境をつくります。
それらは全て誰かに影響を与えているという事だと思うんです。
大切なことは自己完結をしないこと。
そもそもここからここまでで終わり、という考え方が好きではないんですよね。
これまでの仕事も含めて扱う商材は違うのですが共通しているのは『お客さまに対して何ができるのか』『介在する価値を発揮できるのか』商材ももちろん大事なんですが、それより目の前にいるお客さまに対して自分達が何がどんな価値を提供できるのか。

—小野瀬自動車が求める人材について

会社としては「自分が何をしたいのか」「どうしたいのか」を大切にしています。

今回募集するのは車の販売だけでも保険だけでもないトータルカーライフサポートを意識する総合職と車の知識や探究心が大切な技術職の2つです。
総合職は、お客さまのカーライフを様々な商材・サービスを用いて解決するのが役割。新規事業にも取り組んでいきます。
一緒に仕事をしたいのは、自分を知っていて前向きで素直、そして嘘をつかない人。
向いているのは、いい意味で『俺はこんなもんじゃない!』と悶々としている人ですね。
現在の職場で提言しても組織の壁に阻まれて受け入れてもらえてない人。車業界の経験は問いません。
安心安全をモットーに、相手が何を求めているのかを自分を通じて行うコミュニケーション力が第一に求められます。

採用の際に重視しているのは、大小問わずにやりたいことがある人。
例えば今、車メーカーに勤めているけど他社の車にも関わりたい、直したい!など。
自分のことや地域のこと、何がしたい、どうしたいという熱がある人を求めています。

—地域への思い

この町で60年以上続いてきた会社として、『クルマの町医者』でありたいと思っています。
ちょっと体調が悪いとか、どんな症状でもまずは何かあったら1番に連絡が頂ける、それって地域の中にある総合病院ではなく○○医院のような町医者ですよね。小野瀬自動車は、お客様が困った時にファーストコールをする『クルマの町医者』でありたいんです。
実際、祖父や父が繋いできた縁もあり、フラッと来るお客様も多いです。でも、そのお客様への対応も人がいないと成り立ちません。
今、社内では生産性を高める活動をしているところですが、魅力はファーストコールに対応するために『何とかしようぜ!』という雰囲気。人口減少が叫ばれ、車業界の先は暗いなんて言われていますが、それもやり方次第です。モビリティとして地域の人の足になれる会社へ日々挑戦しています。下駄屋からクルマ屋と変化してきた当社だからこそ、車に乗らなくなった人の足という「自動送迎サービス」や「レンタカー事業の全国展開」「整備工場の海外展開」など次の時代を見据えた新たなチャレンジをしていきます。

また、SNSやWEBを通した発信にも力を入れています。
整備士は人の命を預かる大切な仕事、にも関わらず評価がされにくい。
それなら自分たちで技術を発信することで技術の可視化をしブログを通じてお客さまが直接整備士を指名する流れをつくりたかったんです。
鈑金塗装や整備修理のビフォアーアフターを上げていたら、今では整備士に指名が入るようになりました。今はネットで誰もが情報を集められることができるからこそ、信用や信頼に繋がっていると感じています。

—先輩社員の話

向田幸憲(むかいだゆきのり)さんは、東京都出身で入社3年目。
レンタカー・鈑金部部長として営業全般と日次業務のコントロールを担っています。

向田さんは、テレビ番組で見た帝国ホテルのホテルマン憧れ、高校卒業後は旅行やホテルの専門学校に進学。念願叶って帝国ホテルへの入社を果たします。
憧れのホテル業務を5年間続けていましたが、ある日「営業の仕事がしたい」と異業種だったオリックスレンタカーに転職。サービス・営業を経験し、店長まで一気に駆け上がりました。その後、ひたちなか市の支店に転勤。

ある時、現会長から「うちに来ないか」との誘いがあったんです。話をしていると気づけば終電はとうに過ぎている状況。それに気づいた会長はなんのためらいもなく、タクシーを手配してくれて、全額負担する形で自分を東京へと帰してくれました。「単なる社交辞令でもなんでもなく、この人は本気なんだ」と感じたんです。

その後、向田さんは「人生は一度きり」と小野瀬自動車への転職を決めたといいます。
転職が決まってからは、ひたちなか市内に住宅を購入、妻子と共に移住し、地元の消防団にも加入するなどすっかり地域の中に必要とされる人となっています。
向田さんが常に心がけているのは、「TCS」=トータルカーライフサポート。
車を通して、その人の一生を支えること。レンタカーや板金を通じて1人のお客様が関わるもの全て(購入、鈑金、保険)をサポート出来る事にやりがいを感じるといいます。

当社はクルマ屋と一体型でレンタカーまで扱う全国的に見てもかなり珍しい会社です。
100台の新車を社長が自分に賭けてくれているのも大きなやりがいにつながっています。自分はプレッシャーがある方が燃えるタイプ。(笑)
何が何でも成し遂げてやろうと思っています。
常に意識しているトータルカーライフサポート。私生活で消防団に入っているのも社会や地域対する責任感の1つとして自分に圧を掛けている部分かもしれませんね。

現在取り組んでいるこのレンタカー事業は今後のクルマ屋の新しい形としても需要があると思っています。
このモデルが確立していったら全国へ展開することも出来ると確信をしています。

会社の雰囲気としては、整備・レンタカー・鈑金・営業とそれぞれの部での連携がもっと出来ると思っています。
トータルカーライフサポートには全ての事業の人の助け合いが不可欠です。
どの部署も、どの仕事も1人では成り立ちません。まずはコミュニケーションを取るところから、地道にでもやっていきたいと思っています」と話します。

社内では、新たな取り組みとして経営者抜きの会議を行う「オノセプロジェクト」が始動。コミュニケーションが未完成だからこそ、労働環境をはじめ、会社をより良くするために部署の垣根を超えた意見交換や企画提案などを進めています。

向田さんが一緒に働きたいのは、チームプレーができる人。
「当社の社長とは違い技術者上がりの経営者が多くワンマン経営が多いクルマ業界。コミュニケーションをとりつつ、鳥の目も虫の目も持てる人と一緒に働きたいです」

続いてお話を伺ったのは、三次将憲(みつぎまさのり)さん。茨城県出身で、現在、一級整備士として整備を担当し車検の検査員も担っています。

元々車が好きだったという三次さん。高校時代に日産車が好きで憧れもあったことから、日産の専門学校に入学し、より極めるために4年コースを選択。一級整備士の資格を取得し、茨城日産のグループ会社に就職しました。フォルクスワーゲンの整備士として入社し従事する中で、次第に「もっと他のメーカーの車も見たい。お客様にもきちんと触れ合う機会が欲しい」と考えるようになり小野瀬自動車に転職。他メーカーはもちろん、トラックや福祉車両まで扱えるようになったといいます。



そんな三次さんが大切にしているのは、転職する前に実現したかったことでもある「お客様との対話」。
点検で正しい情報を目で見て一緒に確かめてもらうこと。「ここが悪い」という部分をお客様に一緒に立ち会ってもらうことで、口頭の説明ではイメージしにくい専門的な箇所やパーツも現物を通して伝えることができるそうです。

「以前の職場はフロントと整備がきっちり分けられている分業制。転職してから、お客さんとの接点が増えました」そう三次さんは話します。
特に心がけているのは特有の専門用語をどうお客様に分かりやすく端的に伝えられるか。
どうしても車のパーツまで詳しい人は少ないため、車を人間に、オイルを血液に例えて話すこともあるのだそう。
三次さんは「好きなものを通して仕事ができるているのは当社のいいところですね」とほほ笑みます。
現在、社内では「オノセプロジェクト」という経営者抜きの改善組織が始動しています。
「整備はどうしても目の前の業務に没頭しがちなので、利益率を上げる、効率よく動くためにはどうしたらいいか、といった課題も出ています」
そのほか、設備投資や部門間のコミュニケーションの強化など取り組みたいことは多々あるそう。

一緒に働きたいのは、協調性がある人や向上心、探究心のある人。

「車は車種だけでなく、中のパーツもどんどん変わっていきます。今、電気自動車や自動運転、衝突安全機能と技術の進歩が驚くほど早い。そんな中で『自分はこれしか診ない』と言わずに興味を持ってどんどん学んでいける人がいいですね」
仕事は「クルマの町医者」らしく予定も二転三転は当たり前。何と言っても「ちょっとココが変なんだよ!」というような飛び込みが多いそう。
「どんな状況でも、柔軟性を持ったチームプレーでこの地域のお客様に欠かせない「車」の町医者としてありたいですね」

小野瀬自動車では、地域の中に根ざす企業として「クルマの町医者」としていつでも頼れる存在を目指します。
一度、小野瀬さんや他のスタッフと話してみたいという方からのご応募を心待ちにしています。

Writer Profile

高木 真矢子

合同会社JOYNS 代表、ライター兼編集者。1986年生まれ、茨城県常陸太田市出身。2018年3月に「人と人を『喜び』でつなぐ」を掲げ、JOYNSを設立。現在、WEBメディア「水戸経済新聞」運営。個人事業主の息子(小6)と娘(小3)と共に、それぞれが好きなことで生きる『個』 育て実験中。
水戸経済新聞

Photo:鈴木 潤

募集要項

企業名小野瀬自動車株式会社
ホームページhttp://onose.co.jp/
住所(勤務地)茨城県ひたちなか市高野667-5
アクセスJR常磐線佐和駅より徒歩3分
雇用形態正社員
募集職種総合職

技術職
採用人数1~3名
給与基本給180,000円~350,000円 
※能力、経験、年齢を考慮し決定。その他手当あり。
待遇
福利厚生
各種社会保険(雇用、労災、健康、厚生年金)完備。
従業員割引(車購入、車検、鈑金塗装、レンタカー等々)。
制服支給(職種による)
勤務時間8:30~18:00(休憩90分)
休日定休日木曜日。年末年始、ゴールデンウィーク、お盆休み。
年間休日100日。
有給休暇制度(初年度10日、以降在籍年数に応じて最大20日)
仕事内容自動車整備士、カーライフプランナー、サービスフロント、経営企画、総務、経理
必要な資格、経験、学歴特になし。
求める人物像協調性があり素直な方。
募集期間2019年5月7日~
※採用が決まり次第終了となります。
選考プロセスまずは下記「応募フォーム」よりご応募ください。応募後、応募企業より直接ご連絡させていただきます。お問い合わせの場合も下記の応募ボタンよりお問い合わせください。お電話での直接のお問い合わせはお控え下さい。