JR内原駅やイオンモール水戸内原で賑わうエリアから車で5分ほどの場所にある、介護老人福祉施設もみじ館。ここは入所サービスやショートステイ、デイサービスなどのほか、今回募集するホームヘルプと居宅のケアプラン作成の事業も行っている。

もみじ館は、利用者だけではなく地域や多様な世代に開かれ、風通しの良さを大切にする施設だ。高齢者支援センターや「ダレデモテンランカイ」というエントランスのギャラリーは誰でも訪れることができ、隣には保育園や福祉専門学校があるため、中庭で遊ぶ子どもたちや実習に励む学生の姿は日常風景となっている。

また、活気ある団体等との繋がりも強く、茨城から福祉で世界を元気にするプロジェクト「いばふく」や、元気なシニアと共に地域を元気にする「NPO法人ちいきの学校」、福祉事業所が連携して地域を支える「ちいともネット内原」などの事務局が併設されている。また、施設には音楽室(インタビュー写真参照)や本格的なトレーニングスタジオもあり、もみじ館の職員はこういった環境のなか、活気のある人たちと共に働くことができる。

そんなもみじ館は今、新施設長就任を機に「もみじ館らしい介護」を見つけ、意欲ある人材がずっと働ける環境を作る“地固め”をしているという。その取り組みと求人について、新施設長となり半年が経つ稲田秀一さんに話を伺った。

まずは「もみじ館の介護」の質を向上させる

―「もみじ館」はどんな雰囲気の施設なのでしょうか

「人と人とが笑顔で繋がる地域づくり」という理念のもと、保育園や福祉専門学校がある環境を活かして、「全世代が集う憩いや学びの場」というコンセプトで運営しています。

高齢者をケアする施設にとって第三者の目が入ることはとても良いことですし、高齢者支援センターにも誰でも気軽に相談に来ていただきたいので、オープンな施設であることと、私たちが地域に向けてできることは何かを常に模索している施設です。

―新施設長になり、どのようなことに着手していますか?

施設長就任の辞令には大変驚きましたが、「介護の質や働き方の地固めを」というミッションを受け、私が以前相談室長をしていて感じたことを活かそうと思いました。

相談室からは私たちの色々な課題が見えました。根拠の不確かな習慣や、職員によって違う考え方、職員同士の連携不足など。以前は面会に来るご家族から、職員や施設に対する意見を聞くことができたので、私たちも自分たちの仕事を客観的に見て正す機会があったのですが、コロナ禍の面会制限でその機会を失ったことで、客観的な意見をいただく機会が少なくなってしまいました。

そのような部分を見直し、これから意欲のある学生や中途採用の方がもみじ館に入ってくれたときに、私たちの介護の在り方に納得してもらえることを目標に、この半年間で組織を見直し始めました。

みんなの介護観を集めた「もみじ館のケアスタンダード」を作る

―もみじ館の介護の質を上げるために、具体的に何を行っていますか?

基礎の基礎から着手しようと思い、理念や行動指針の基本となる「もみじ館のケアスタンダード」作りに取り掛かっています。参考にしているのは、ホテル「リッツ・カールトン」のスタンダード。
例えば「リッツ・カールトンは、お客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています」といった、従業員の核となる言葉がまとめられているんです。

もちろん元々もみじ館にも「尊厳の保持」や「安全の確保」などの行動指針はありました。しかし職員によってその受け取り方は様々で、「利用者様のためにこうしたい」という思いや行動が違い、利用者様からすると受けるサービスにばらつきが多少ありました。

ですので今、そのばらつきを無くすために、元々の行動指針に対して職員それぞれの介護観を言葉にしてもらい、アンケートで集めています。アンケートには結構本音が出てきていて、最終的には10項目ほどの「もみじ館ケアスタンダード」をみんなで作って地固めの第一歩にしたいので、今私が各々の介護観を大切に受け止め、折衝しているところです。

作る上で大切にしているのは、職員全員で作ること。掃除の職員や厨房の調理員の視点も大切で、「みんなで作るんだよ」と伝えています。

―ケアスタンダードを作った先は、どのように考えていますか?

職員全員がスタンダードを心に置いて行動することで、利用者様やご家族、地域の方、同業の方にも私たちのサービスの特徴をわかっていただき、「もみじ館の介護」という代名詞が生まれるくらいになりたいです。

どういうことかと言うと、介護では例えば、普段ペースト食を口にしている高齢者が「カップラーメンを食べたい」と言ったとき、意思を尊重するのか安全を優先するのかによって内容が大きく変わります。そういう場面で職員全員が「もみじ館はこうします」と言えるようにしたい。

そのようなスタンダードの存在は、就職先として選ぶ基準にもなると思います。そして賛同する人材が集まれば、私たちらしさがより際立ち、地域の方が施設を選ぶ際の指針にもなります。あまりもみじ館のことばかりを考えていてもいけませんが、まずは「1カ月待ってでももみじ館に入りたい」「もみじ館に入って良かった」と言っていただける努力をして、他の事業所にも真似をしてもらえるくらい良い介護をできたらいいなと思っています。

考えること、伝えること、聞くことができる人材が欲しい

―そんなステージにあるもみじ館には、どんな人材に来て欲しいですか?

「自分で物事を考えられる人」「相手の立場になって、言うべき方法で考えを伝えられる人」、そして「こういう介護をしたい、と自分の言葉で言える人」です。特に今回募集をする居宅のケアマネージャーやホームヘルパーは、ある程度のキャリアと資格がないとできないスペシャリストの仕事なので、この3つに何かを感じていただければ、信頼ができるなというイメージです。

また、今のもみじ館には足りない部分も多いため「もみじ館は〇〇ができていない」と切り捨てるのではなく、「〇〇を直すために、どうしたらいいでしょう」と一緒に考えてもらいたいです。その方の意見に誰かから反論があったとき、建設的に話し合えるかどうかも大切です。

―「聞く」力が大切なのですね

そうですね、介護って結局そこだと思うんです。相手が何に関心があってどんな感情を持っているのか、相手の立場に立つために話を聞くということ。職員同士でも「私とは意見が違うけど、利用者様のためにどうしようか」と、相手のことを聞き合ってほしいんです。もしホームヘルパーやケアマネージャーとしてのスキルや経験が無くてもそれは教えられる環境にあるので、その「聞く」という姿勢で働いてほしいです。

ホームヘルパーやケアマネージャーの仕事は“クリエイティブ”

―訪問での介護職は、より「考える・伝える・聞く」ことが大切そうですね

その通りです。だからホームヘルプから帰ってきた職員は「〇〇さんのケアは次からはこうした方がいいね」「この件は元から見直さないとね」といったように、職員同士でどんどん話が広がって、見ていて感心します。ホームヘルプは施設の介護よりもフレキシブルな対応を要するので「大変そう」というイメージが大きいですが、ルーティーンではないからこそ生き生きと働いているので、このやりがいがもっと伝わればいいなと思うんです。私は長年施設で介護をしてきましたが、ホームヘルプは介護職のなかでもスペシャリストの領域だと感じています。

―とてもクリエイティブな仕事だと感じます

本当にクリエイティブです。恐らく、考えることを楽しんでいるんですよね。例えばホームヘルパーの場合、訪問する一軒一軒の環境が違っているとイレギュラーなことも発生するし、時間も限られます。想像力や実践力が必要なので「大変そう」というイメージが先立ちますが、そこにこそやりがいを感じられると私は思うんです。

本当の意味での大変さは一軒一軒にフレキシブルに対応することではなくて、キャパを越えてしまったとき。そうならないようにするのが私の仕事なので、訪問先から帰ってきたときの表情などを細かく見るようにしています。

奉仕の気持ちだけでは、介護職は長続きしない

―稲田さん自身、介護職の魅力をどう感じていますか?

相手のためになる仕事が、自分のためにもなるということがとても魅力だと思います。介護は奉仕や自己犠牲というイメージがあり、実は私も初めはそうでした。天職だと思って没頭していたものの、何か物足りなくなって施設を転々としていたんです。

ターニングポイントは、以前働いていた入居施設でのことでした。そこはお看取りをしない方針だったため、ある入居者の方が施設や病院の間でたらい回しになってしまう状況を目の当たりにしたんです。
私は「その方の人生をないがしろにしたくない」と強く思い、当時の上司にかけあって体勢を整え、その施設から初めて命をお送りすることができました。それは自分の思いを初めて介護で実現した経験でした。

私がそれまでやりがいだと思っていた「相手が笑ってくれたら嬉しい」という感覚とは根本的に違い、そのターニングポイントのときには「自分」があり、自己肯定感や存在意義を感じたんです。

―今まで介護の仕事を続けてきた理由は、その気付きがあったからなのですね

そうです。介護の仕事はとても自分のためになると思うようになってから、適当に介護の仕事をしている人を見るとすごくもったいないと感じます。「どうしたら喜んでくれるかな」と考えて実践をして、それに対して起きるプラスなことやマイナスなことがリアルタイムで感じられて、もうひと工夫して相手に喜んでもらえたら喜びが倍増する。相手と自分、両方のためにできるというのが、介護という仕事の魅力ではないでしょうか。

仕事を続けられるよう、応援団長として支える

―職員が辞めない職場作りをしているとのことですが、詳しく教えてください

日本では介護職の離職率が非常に高く、その理由の多くは人間関係にあるそうです。ですからもみじ館ではシンプルに、「心理的安全性」つまり「ここにいて大丈夫」と思えるような場所にしようと考え、アナログかもしれませんが声をかけることを大事にしています。

そのため、私自身が「応援団長」であろうと思っています。「施設長は威厳が大切」という意見もあるかもしれませんが、そのイメージは最初から取っ払って、「相談ごとは私に直接言ってもいい」と伝えています。私のことを個人的に信用してもらわないと、もみじ館で働く上で心理的安全性が確保できないからです。

直属の上司に話しにくいこともあると思うので、施設では主任や副主任など誰に相談をしてもいいし、私もその1人という形。頼りどころが多い組織にしています。

―ホームヘルパーやケアマネージャーが仕事を続けられるよう、どう考えていますか?

負担を外していくことです。ホームヘルプでいうと、今は責任者1人とパートの介護士3人なのですが、みんなやりがいと責任感が強く訪問件数を多く入れて働いてくれています。特に、今は責任者が1人なので負荷がかなり強く、今回の募集で物理的に人材を増やして、やる気のある大切な人材を楽にしてあげたいというのが率直な気持ちです。

他にも、みんな日々の記録1つ1つにも一生懸命なので、定型文をうまく使う提案をするなど、力を入れ続けないよう伝えています。訪問先から帰ってきたときの雰囲気を見ることも心がけていて、何かあったようならまめに話を聞くようにしています。

もみじ館で働く職員の声

今回募集をするケアマネージャー(左:大塚亜寿歌さん)、ホームヘルパー(右:宮内絵理奈さん)の職種で働くお2人に、実際に働く感想などをお聞きしました。

―稲田施設長の取り組みに対して、どう変化を感じますか?

宮内さん(ホームヘルパー・サービス提供責任者)「何度も面談をしてくれるなど、ホームヘルパーや居宅のケアマネージャーに力を入れていることを最近ひしひしと感じています」

大塚さん(ケアマネージャー)「そうですね、話をよく聞いて向き合ってくれるし、私が他の事業所から耳にしたもみじ館への意見を、改善に繋げてくれます」

―もみじ館や仕事内容など、働きやすさはいかがですか?
宮内さん「私はここで働いて9年になるのですが、私が苦手なところを周りの人がカバーしてくれて、何かあったら話を聞いてくれたのが、続けられた理由だと感じます。今でも思い出すのは、新人の頃に何も出来なくて1人でうなだれていたときに、先輩が話しかけてくれたことです。あのときに辞めていたら今のように介護の仕事にやりがいを感じられていなかったので、私もそういう後輩に声をかけてあげたいです」

大塚さん「私は子どもが幼稚園入園を機に働き始めて13年になります。未経験、短時間勤務でデイサービスから始めて、子どもの成長と共に私も資格取得に挑戦をし、最近主任ケアマネージャーを取得しました。ケアマネージャーの仕事は、自分の業務調整で仕事と子育ての両立ができ、様々な職種の方々との関りの中で、自分も成長できるのが仕事の面白さだと感じます」

―記事を読んでいる人に、伝えたいことはありますか?

宮内さん「ホームヘルパーは、家事ができないからとか、1対1で介護をすることが怖いなどの理由であまり人気が無い職種ですが、実際は家事が得意な方や身体介助が得意な方など、それぞれの力を活かして訪問先を決めているので怖がらないで欲しいです。職場も和やかなので、ぜひ来てもらえたらと思います」

自信が無い部分があっても、もみじ館なら大丈夫

―再び稲田さんにお聞きします。まだ仕事に自信が無い方もいるかと思いますが、その点はいかがでしょうか?

もみじ館は、色々な人を受け入れる土壌があるので、安心して来てもらいたいと思います。施設内でも、まだ自信が付いていない職員との関わり方を工夫しながら接している職員をよく見かけるので「もみじ館なら、色々な人が来ても大丈夫だな」という感覚がずっとあります。正直な声が現れてきたアンケートの中にも、「仲間外れになった」という声は今のところありません。

また、様々な背景がある人材を受け入れることを職員に相談をすると快く受け止めてくれ、今も外国からの技能実習生や専門学校の外国人卒業生のほか、コミュニケーションが少し苦手な職員が働いているんです。

「いばふく」(茨城から福祉で世界を元気にするプロジェクト)の研修では人との関わりを学ぶ機会がとても多いので、素直に「色々な人がいるよね」と受け止める土壌ができているのかもしれません。

やりたいことをやったもん勝ち

―改めて今、職員の皆さんに伝えたいことはありますか?

「やりたいことはやってみてください」ということが全てです。もみじ館がより良くなるために、「こんなアイディアをやってみたいけど、言っても大丈夫かな」と胸に抱えていたことを、ぜひ提案してほしいです。

これまでも実際に、職員からの提案でうさぎを飼い始めたり、メンタルヘルスケアマネジメントの資格を職員10人が取得したりしました。資格取得には1人6000円かかるので少し迷いましたが、提案者に「資格を取得したらどんな良いことがあるの」と聞いたところ、「資格を取った10人が施設のあちこちで働いていれば、悩んでいる人に気付けるかもしれない」と言ってくれ、納得して了承しました。

企画をしたことが無い人も多いと思いますが、「このような効果が期待できる」「お金がいくらかかる」といった根拠を付けることができれば、しっかり物事を考えている証拠です。そういう成功体験は、やはり仕事のやりがいに繋がります。費用が大き過ぎたりメリットが無かったりと、よっぽどのことが無い限り許可をします。

また、少し引いた視点から冷静に意見を言ってくれる存在も大事なので、みんながみんな「やりたい」という気持ちを持っている必要は無いとも考えています。

―もみじ館での就職に興味を持った方へ、メッセージをお願いします

もみじ館には「学びたい」「もっと成長をしたい」という欲求を満たせる環境があるのではないかと思います。色々なところに派遣もできますし、地域と繋がることに興味があれば委員会の活動として地域の人とゴミ拾いもできる。

特に「いばふく」(茨城から福祉で世界を元気にするプロジェクト)の研修は1回はぜひ出てほしいです。福祉に関係の無い人も講師をしているので一見すると介護に関係が無いように見えるのですが、福祉職の人たちが練った楽しくて真面目な企画なので、仕事に何かしら良い変化が起こると思います。研修に参加する人には、「現場は何とかするから行っておいで」という空気感もあるので安心してください。

もちろんやりたくない人はやらなくてもいいのですが、「なりたい姿がある」「やりたいことがある」という人にとっては、仕事の時間や場所を使って自己実現ができるので、意欲のある人はぜひ遠慮せずに動いてください。


新施設長、稲田さんのもみじ館への決意。皆さん自身の介護観や心に置く信念など、稲田さんの言葉に反応するものを感じたら、ぜひもみじ館の扉を叩いてみてほしい。

企業名 社会福祉法人北養会 特別養護老人ホームもみじ館
ホームページ https://hokuyoukai.jp/momiji/
住所(勤務地) 茨城県水戸市鯉淵町2222ー1
常磐線内原駅より徒歩25分
雇用形態 正社員・パート
募集職種 訪問介護(サービス提供責任者・ヘルパー)、居宅介護支援(ケアマネージャー)
その他、施設介護職員随時募集中
採用人数 若干名
給与 正社員:230,000円~350,000円
パート:時給950円~ 
能力・経験・年齢を考慮して決定します。
待遇
福利厚生
各種社会保険完備(雇用・労災・健康・厚生年金)
各種手当あり(通勤・資格・処遇改善等)
制服貸与
食事補助あり
各種休業制度取得実績あり(産休・育休等)
昇給年1回 賞与あり(5年目まで。以降年俸制)
勤務時間 8:50~17:50 他シフト制
休日 シフト制
仕事内容 サービス提供責任者:ご自宅での介護サービスのほか、サービス調整、職員管理等
ホームヘルパー:ご自宅での介護サービスのほか記録等付帯業務
ケアマネジャー:ケアプラン作成他居宅介護支援に係る業務
必要な資格、経験、学歴 初任者研修修了、介護福祉士、介護支援専門員(事業により異なる)
求める人物像 前向きに仕事に取り組める方、相手の話を聴ける方
募集期間 掲載開始から1年間
※募集人員が埋まり次第終了とさせていただきます。
選考プロセス まずは下記「応募ボタン」よりご応募ください。応募後、応募企業より直接ご連絡させていただきます。
お問い合わせの場合も下記の応募ボタンよりお問い合わせください。お電話での直接のお問い合わせはお控え下さい。

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    社会福祉法人北養会 特別養護老人ホームもみじ館

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    1.訪問介護(サービス提供責任者・ヘルパー)2.居宅介護支援(ケアマネージャー)3.その他

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    Writer Profile

    栗林 弥生

    1982年水戸市生まれ。報道カメラマンの父と記者だった母に影響を受けテレビ業界を目指し、東京の番組制作会社で「あなたが主役50ボイス」「アジアンスマイル(モンゴル)」(共にNHK)など、人の思いを描く番組を主にディレクションする。2014年に結婚を機に水戸に戻り、インタビュー取材を中心とした仕事をしている。