北茨城の実家から水戸の常磐大学に通う岡本太郎さん(大学4年生)。
なんとなく公務員という進路から、偶然出会った小美玉市でクリーニング業を営む株式会社ユーゴーに入社予定です。 彼の就職活動を通した変化と、学生が持つ就職観について聞いてみました。

―まず、大学では何を学んでますか?

地域政策学科というところで、地方行政が専門です。
親から「公務員になれ」と言われてて、将来の夢とかなかったし、安定してるから公務員目指してみようかなと思って入りました。

―株式会社ユーゴーとの出会いは?

インターンシップに行かなきゃならない授業を取ってたんです。
市役所に申し込もうと思ってたんですけど、気づいたら間に合わなくて。笑
そしたら、授業で企業取材インターン「ひきだし」というプログラムを知って、これでいいかなと思って申し込みました。

―インターンする前に、ユーゴーって会社は知ってましたか?

いえ、それまでは知りませんでした。「クリーニング専科」と聞いて、やっとわかる程度です。

―インターンの時には会社をどう感じましたか?

仕事を楽しむっていう考え方があるんだなと気づきました。
「楽しむ道もありだな」とその時は思ったけど、「やっぱり安定だよな」って思っていました。

―引き続き、公務員志望だったんですね。

そうですね。公務員試験の勉強もしてました。
3年の12月に、インターンで出会った採用担当の稲野邉さんから「説明会来たら」って誘われて、それなら行きますってなって。
説明会の最後にエントリーシート書かされて、真剣に入社するビジョンはなかったんで、「第一志望:公務員」って書いてました。笑

―そこからどう心境は変わっていった?

2次面接からイメージが変わってきて、役員の方が担当だったんですけど、「自己分析やってないでしょ?」って言われて、自己分析に付き合ってもらえて。
自分の中で、仕事っていうのは生きるために仕方なくやるものだと思ったんですよ。
でも、「仕事も人生の一部だから楽しむ」って考えに、改めてそうだよなと思って。

―会社のことはある程度わかってたけど、自分の志向がわかってなかったんですね。
自己分析を通して、自分と合ってるんじゃないかと思った。それで、自己分析では何が分かりましたか?

中学高校と何もやってなかったなーっていうのは分かりました。笑
ユーゴーは、色々やらせてくれる会社だと感じて、社会人になったら色々やってみたいなと。

―この会社いいなと思うのと、入社するのってまた違うじゃないですか。本当にここで働こうと思ったのはいつ頃ですか?

3次面接の時には、この会社で働こうと思いました。
その時には、公務員試験は落ちたら受けようかなと。笑
内定が出た時には、「よっしゃ頑張るぞ!」と思いましたね。

―他の企業は見てみようとは思わなかった?

思わなかったんですよ。
でも、会社から「他の企業も見てみたほうがいいよ」って言われて、それで一応何社か見てみました。
説明会に行きましたけど、ユーゴーほどピンとくる会社はありませんでしたね。

―ユーゴーはどの辺りがピンと来ましたか?

まず1年目の研修が終わったら、サブマネージャーから始めて、仕事を任せてもらえるっていうのが一番ですね。
しかも、製造であったり、接客であったり包括した業務ができる。
色々成長していけるんじゃないかと思って。

―まだやりたいことが明確じゃない人にとっては、いいのかもしれないですね。
会社の理念や想いに共感したということはありますか?

それもありますね。
三位一体の理念という「会社の利益、お客さんの楽しいという感情、そして従業員が働いて良い環境の3つを満たそう」っていう考えなんですけど。
考えた社長は聖人みたいな感じで、そういう生き方をしてみたい。
僕はいかに楽して稼げるかを考えてしまう。笑
会社に入って人間として成長して、そういうことが自然にできる人間になりたい。

―社会人になって東京に行くという選択肢はありませんでしたか?

あんまり地元から出たいとかそういう意識はないですね。
場所はどこでもいいと思ってます。
会社には「せっかくだから遠くに飛ばしてくれ」って言ってますね。笑

―今まで公務員志望だったのが、企業に入ることになって、ご両親はどういうリアクションでした?

「いいんじゃない」って感じです。特に反対はされませんでした。
ただ、公務員講座を年間8万円で受けていて、「もったいない」って言われましたけど。
ここで高校や大学にいる周りの友達は、地元のこと、進路のことをどう考えているのか聞いてみます。

―話は戻って、大学進学では地元を出ようとは思いませんでしたか?

そもそも進学自体をあまり真剣に考えてなかったですね。
親からは「勉強できれば、東京とか行って一人暮らしさせてやるけど、そうじゃなければ実家暮らしにしろ。」と言われてました。
本当は茨城大学に行きたかったんですが、勉強を頑張らなかったので、ちょっと無理だなと思って、常磐大学に進学しました。
周りの友達で、地元進学の人はそんなにいませんね。

―これをやりたい!とか夢がある感じ?

みんな将来の夢とかは、そんなに考えていなかったかな。
一人暮らししたい、東京に出たいという意思が大きくて、とりあえず進学しようと。

―大学だと公務員志望が多いって言ってたけど、企業を受ける人も多いですか?

そもそも就職活動を真面目にやってない人が多いですね。
僕もナビサイトにいつ登録するか知らなかったし、誘われてなかったら、企業説明会とか絶対行ってないです。笑

 

続いて、株式会社ユーゴーの人財開発室・室長の稲野邉崇晃さんにもお話を聞いてみました。

―率直に岡本君を採用した理由を教えてください。

弊社の理念は「ありがとうと感謝されること」。
これが中心にあるんですけれど、ここに共感してもらっていること。
そしてユーゴーを好きでいてくれることですね。岡本君の自己分析結果はよく覚えてますよ!
根がすごい真面目で、ふざけちゃうんですよ。
何もやってないって言うけど、自分が努力しているという実感がないんだよね。
大きな挫折もしていないし、人と関わることを避けちゃう。
でも、その割には人が好き。笑
岡本君が、これから変わっていって、マネジメントを通してどんなことをやってくれるかなという期待はたくさんあります。

―入社した方で県外の出身の方もいますか?

もちろんいます、東京出身や北海道出身という方もいますが 結果的に、茨城県や千葉県など出店エリア内からの採用が多いですね。

―学歴だけ見ると東京の学生の方が上のことが多いと思うんですが、地元の学生を選んでいる理由って何ですか?

東京の学生って一見してとても優秀に見えるんですよ。よく喋るし、いろんなこと知ってるし。
茨城の学生はシャイなだけで、東京の学生がいいよねっていうことはないです。

―採用は新卒がメインですか?

総合職は新卒がメインです。
弊社は理念教育でノルマのように数字を追わせることはしません。
新卒の真っさらな状態でやってもらった方が、理念の体現者になれるので。

―新卒採用は今困ってる感じですか?

もう少し採れてもいいかなとは思っていますが、あえて増やそうとは思ってないです。
毎年3人ぐらいずつ増えて行ければ。
会社の将来作るには新卒が大事なので、直近10年は大丈夫だけど、20年後にはどうなってしまうか。。

―総合職の人で辞める人はあんまりいないですか?

昔に比べたらだいぶ離職率は下がりましたね。
今3年目までのマネージャーだと誰も辞めてないですね。
4年目のマネージャーが3人いたうち1人辞めてます。

 

最後に岡本君に今後のことと、これから就職活動する学生にメッセージをいただきました。

―入社してから不安に思ってることとかありますか?

具体的にどんな事やっていくかはまだわかってないので、漠然とした不安はあります。
でも、そんなに心配はしないですね。
あ、一人暮らしなんで野菜とらなきゃなとは思ってます。笑

―これからの夢や、こんなことをやっていきたいとかはありますか?

具体的にはないですね。
仕事を通して少しずつ成長していって、立派な人になっていきたいです。

―やっぱり根は真面目なんだね。なんかモヤモヤする時とかないですか?

あんまり考えたことないですね。
漠然とした不安は抱えてますよ。
将来どうしようかなとか。

―最後にこれから就職活動する学生に一言メッセージを。

「会社がいかにお客からお金をまきあげて、従業員をこき使うか」という仕事の価値観が多いですよね。
そういうブラック企業のイメージってSNSの拡散とかだと思うんですけど。
悪い企業に働く人はこういうことを発信して、良い会社で働く人は別に発信しないですから。
そういう価値観が入ってきちゃうと思うんですけど、優しい会社はあると思うので、ぜひ見つけて欲しいですね。

「市役所のインターンの申込みに間に合わない。」そんな些細なきっかけから、別のインターンに参加して企業と出会った。
そして、選考を通して、自分と企業の理解を深めて、自分にマッチする会社を見つけた。
会社と個人の間には相性がある。
たくさんの会社、人と会って、自分に合った良い会社と出会って欲しいと思います。

Writer Profile

若松 佑樹

株式会社えぽっく代表取締役。1985年日立市生まれ。読書好き、ももクロファンクラブ会員(れにちゃん推し)。 都内でITベンチャー、食と農のシンクタンクを経験した後、2014年より茨城にUターンする。 インターン事業を中心に若者の人材育成と地域の中小企業の経営革新を行う。 2018年に株式会社えぽっくを設立し、「働く」と「組織」のアップデートを目指し、兼業・副業や採用支援などにも取り組む。

Photo:鈴木 潤