茨城県日立市にある、コーヒーの焙煎・販売を行うただいまコーヒーラボ、そしてCOFFEE STAND GENKAN。この2店舗を運営するのは、株式会社ただいま様。ただいま様の代表・和田昂憲(わだ・たかのり)さんは、過去二回にわたり、「いばしごと」に求人記事を掲載いただきました。

今回は、「掲載とその後」をテーマにインタビュー。取材に答えてくださったのは、代表の和田さんと、昨年12月にアルバイトとして入社したスタッフの小高さんです。

いばしごとの求人記事の特徴は、2時間ほどの取材や撮影を行い、少し長めのインタビュー記事を掲載し、情報だけではなく経営者やチームの「想い」も届ける、というもの。

そんな求人サービスをご利用頂いた和田さんと、応募のきっかけの一つとして記事を読んでくださった小高さん。

香ばしいコーヒーの香りをめがけてお店に訪れるお客さまに、朗らかに向き合い続けるお二人から、お忙しい一日の合間の時間をいただきながら、いばしごとの感想を伺いました。

※過去の株式会社ただいま様の求人記事
「ただいまコーヒー」が日立で挑む新たな場づくり。 「COFFEE STAND GENKAN」誕生ものがたり。
「In 日立ではなく、From 日立」日立の人が誇らしく紹介できる組織を目指して

求人記事を通して社内外に伝える「なぜこの事業をしているのか」

まずお話を伺ったのは、代表の和田さん。過去の記事掲載でも、忙しい時間の合間を縫って取材にご協力いただきました。掲載依頼する側も時間と忍耐を要する「いばしごと」。ですが、掲載までの過程は、和田さんにとって、内省をしたり、会社への想いをお客さまにも社内にも伝える機会にもなったそうです。

―求人記事を掲載した後、どの程度の応募がありましたか?

和田さん
ありがたいことに、10名弱の応募がありました。応募してくださったみなさまは、いばしごとの記事だけでなく、自社に掲載した求人メッセージも読んでくださった人がほとんど。なので、いざ面接となったときも、お互いに仕事の考え方への理解は早かったですね。

ご応募頂いた方々は、本当に素晴らしい方ばかり。今回は不採用になってしまった方も、今でもお客さまとしていらっしゃって、僕たちとコミュニケーションを取ってくださっています。

ビジネス的な「どんな人でもお客さまになりうるから無下にできない」という考えももちろんありますが、僕のポリシーとして「ご縁を頂いたら、少しでもお役に立ちたい」という想いもあるんです。

だから、面接も必ず二回やるし、お断りするときも全員に電話でしっかり伝えました。不採用になった方からも「ここまで丁寧に対応してくれる会社は今まで無かった」とご好評いただきましたし、「これからも応援していきます」というメッセージもいただきました。

―取材や撮影といったプロセスを経て文章でしっかりと想いを伝える「いばしごと」に求人記事を出して感じたことを教えて下さい

和田さん
いばしごとでは、求人をする過程の中で、「自分たちは何のためにこの仕事をしているか」「どんなストーリーを紡ぎながら経営をしているのか」ということを、お客さまや関係者に伝えられると思います。

自分たちの仕事について、「何をやっているのか」以上に「なぜやっているのか」を伝える。そして、そこに共感してくれる人たちと繋がっていく。それはとても大切だし、そんな会社こそ、地域から応援されるようになっていくのではないでしょうか。

今やコーヒーはどこでも買えてしまいますが、一方で「どの会社から買うか」ということも大事な時代。だからこそ、なんのためにコーヒー屋さんをやっているのか、何を目指しているのかを記事の中で伝えることは、とても価値あることだと思います。

さらに、取材を受けて記事にしてもらう過程の中で、自分自身に問いが投げかけられるので、内省にも繋がりますね。記事を振り返ってみると、恥ずかしいなとか、違和感があるなとか思う部分も出てくるかもしれません。でも、そこで生まれた言葉は、まぎれもなくその時の自分を表していますし、また自分の成熟度とともに、生まれる言葉も変わってくるものだと思います。

―経営者の想いを言葉にして伝えられたことは、社内や会社経営への影響はありましたか?

和田さん
経営者それぞれに方針はあると思いますが、僕の仕事は、自分の考えをきちんと外に発信したほうが良い職種だし、僕自身も発信したいなと思っています。

理由の一つは、コーヒーは、価格や品質を選ばなければ、どこでも購入できる時代なので、「どんな人が、どんな組織が、どんな想いで扱っているのか」ということが僕たちの価値になるから。

もう一つは、チーム作りという文脈のなかで、いかに透明性ある組織を作れるかというのが、株式会社ただいまのメンバーたちのやる気に繋がると思うから。

透明性というのは、社長が何を考えてどこを目指そうとしているのか、経営の数字、情報が隠されていないか、メンバーの知らないところで意思決定されていないか、といったこと。

自分自身が考えていることを開示し発信していくことは、お客さまにとっても良いことだし、チームにとっても良いことだと思っています。

―共に会社を盛り上げる仲間が増えた今、これから目指しているものはありますか?

和田さん
今回、約10名からご応募いただきましたが、採用・不採用の分かれ目は、「今の会社のステージのなかで必要な人かどうか」だと思っています。株式会社ただいまは、まだ創業期。これからステージが変化していく中で取り組んでいるのが、一言でいうと「会社の暗黙知を形式知化すること」です。

一人で始めた事業も人数が増えてきて、できることも増えてきました。メンバーそれぞれが、お客さまに喜んで頂くにはどうしたら良いかを自分で考えながら仕事をしています。でも、共通の認識を揃えていかないと、サービスがブレてしまう。

だから、たとえば接客で大切にしていること、人事制度、ポジションのなかで期待されている役割や必要な力、などを可視化し、ミッション・ビジョン・バリューとともに改めて言語化していきたいです。

誰がお客さまと向き合ってもいい接客ができるとか、味を安定させるとか、そういうことも大切ですね。

ちなみに、2021年のテーマが「発射台を作る」ということ。いま、コロナ禍で社会のいろいろなことが変わってきました。だから、僕自身も改めて「組織が発射する方向」をしっかり見定める時間を多くとる計画です。

良い方向に発射していくためには、会社のみんなでいい仕事をして、品質のブレを少なくし、お客さまと親密な関係を結んで行けるような、いいチーム力が必要。

そして、僕たちがどんな商売をしていようと、「ただいまさんの仕事なら応援するよ」と言ってくださるお客さまを増やしていく。

そうすることが、これから僕たちが飛び出していくための、より確かな発射台につながっていくと思います。今年は、いいチーム力で発射台を構築する一年にしていきたいですね。

先輩たちの熱が心に染みて、「挑戦したい」気持ちが動き出す

続いてお話を伺ったのは、ただいまコーヒーラボのスタッフ、小高美和(こだか・みわ)さん。

小高さんは、和田さんが書き下ろした求人メッセージと、いばしごとの記事を読んだことがきっかけで、株式会社ただいまの求人に応募。その後採用され、2020年12月から、週2日のペースで働いています。

入院するお母様の看病の際に、ほっと一息つけるタイミングがコーヒーだったこと。そして、その頃色々なメディアで取り上げられていた和田さんの存在を知ったこと。応募の背景には、そんなエピソードもあったそうです。

―応募する前は、和田さんの求人メッセージもいばしごとの記事も読んでいたそうですね。

小高さん
これまで事務系の仕事しか経験が無かったのですが、仕事を再開するなら新しいことに挑戦してみたい、と思っていました。そんなとき、コーヒーに興味を持ったことと、和田さんのことを知ったのがきっかけで、株式会社ただいまで働きたいと思うようになりました。

和田さんが書いた求人メッセージが気になっていたので、印刷してずっと読んでいたんですよね。心に染みました。私よりもずっと若いのに、人や物、環境、子どもたち、地域に対して、とても幅広い視点で捉えていたのが印象的でした。

女性が働きやすい社会にしたい、子どもが生まれても無理せず働ける環境を作りたい、という想いも胸に刺さりましたね。そんなメッセージを読みながら、ここで働きながら学びたい、影響を受けたいと思うようになりました。

―いばしごとの記事はいかがでしたか?

小高さん
いばしごとの記事も拝見し、COFFEE STAND GENKANの神定さんや朝倉さんの働く様子や、色々なことを支え合いながら仕事をしている様子が見て取れました。

確かにいばしごとは、文章量も多いですよね。でも、私も新しい場所にチャレンジしていくので、和田さん、神定さん、朝倉さんそれぞれが、どんな気持ちで働いているのかを知りたかったんです。私にとっては、あれぐらい熱く語られていたほうが、伝わってきますね。

だからこそ私もダメ元で「初めてだけど挑戦してみよう」という気持ちになれたし、逆に想いを受け取った上で「今の自分はちょっとちがうかも」と応募を考え直す人もいるのではないでしょうか。

―いばしごとの求人記事は、どういうところに着目して読んでいましたか?

小高さん
たとえば、新聞の折込チラシに入ってくるような求人情報は、会社ごとの枠が小さくて、本当に必要最低限のことしか書かれていないですよね。だから、働くことに少しブランクが合った私は、二の足を踏んでしまうというか。

いばしごとの記事では、COFFEE STAND GENKANの立ち上げの話の中で、和田さんと神定さんがぶつかり合いながらも、朝倉さんのサポートがあって、徐々に人間関係を育みながら前に進んでいく様子が語られていて、それを読んですごくいいなと思いました。

文章の中に、会社の成り立ちやオーナーの想い、その場所で働く人の想いがぎゅっとつまっている。読んでいて言葉がすんなり入ってきましたし、私自身、この記事から背中を押してもらったような気がします。

―実際にただいまコーヒーラボで働いてみての感想はいかがです?

小高さん
今私は主人の両親と同居している関係もあり「介護の事情で、時々ご迷惑をおかけするかもしれません」と和田さんに相談したところ、「小高さんの負担にならないように調整しましょう」とおっしゃってくださって。そう思いやってくださる会社とは、なかなか出会えないと思いました。

私は人前に出るのが苦手だし、まだまだ覚えることもたくさん。でも、みなさんが親切に教えてくださるので助かります。

先輩方の仕事は素早くて、見ている分には簡単そうですが、やってみると難しい。まだまだ仕事を覚えきれないので、シフトの前日は、仕事中に纏めたノートを見返して復習しています。それが学びだし、そういう時間も、求人のご縁があったからこそ生まれたものですね。

―これから挑戦していきたいことはありますか?

小高さん
株式会社ただいまで働き始める前は専業主婦だったこともあって、去年の12月まではガラケーを使っていたんですよね。それが、ここで働くようになり、和田さんたちがスマートフォンやスマートウォッチを使っているのを見て、私もスマートフォンを使うようになりました。

仕事もスマートフォンも、「私は大丈夫です」と自分で解決しようとするより、「教えて下さい」と頼んだほうが、学びもあるし楽しい。日々の仕事の中で、和田さんや先輩方にちょっとでも近づければと思い、頑張っています。

自分の中に「チャレンジしたい」という気持ちがあって、一歩踏み出して、株式会社ただいまさんに出会いました。この出会いのなかで、色々なことを学んでいきたいと思います。

※和田さん、小高さんへのインタビューはここまで


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「いばしごと」は、茨城県内の想いの強い会社や経営者の声を求職者に届けること、そして茨城で働く人の今を伝えることを目的としたメディアです。

このメディアは、「地方の企業の想いや魅力が可視化されていないことが、人材不足につながっているのではないだろうか?」という仮説を立て、「クリエイティブの力でその問題を解決する」という検証を行う実験としてスタートしました。

現在も引き続き、茨城県企業の皆さまからの、求人記事掲載のご依頼をお待ちしております。

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Writer Profile

佐野 匠

1985年茨城県下妻市生まれ。20代半ばに東京から地元に戻るも、キャリアもスキルも学歴も無かったため、悩んだ末にボランティア活動に参加し、その中で写真、文章、デザイン、企画、イベント運営などのノウハウや経験値を蓄積。最近やっとライターやフォトグラファーの仕事を頂けるようになりました。カッコいいと思うものは、マグナム・フォトとナショナルジオグラフィック。

Photo:佐野匠