就職活動に挑む大学生たち。彼らの中には、挑戦への期待に胸を膨らませる人もいれば、働くことへのイメージが沸かず「できれば働きたくない」「やりたいことがない」と思い悩む人も少なくないはず。まして、コロナ禍により従来の価値観がゆらぎ、働き方や生き方を自分たちで見出さなくてはならない昨今では、なおさらのことだと思います。

そんな中、茨城県那珂市では、関係人口の創出を目的とし、働くことに悩む大学生たちを対象にした地域企業さんへの取材インターン企画「ひきだし」を主催しています。

那珂市が主催するひきだしでは、茨城県内外の大学生たちが取材チームを作り、この企画を運営する株式会社えぽっく(以下、えぽっく)のサポートの元、約1週間かけて那珂市内の企業さんをオンライン取材します。企業の取組みや、仕事にかける想いなどを伺い、企業紹介記事を執筆。最終的には冊子として完成させ、企業情報と取材に関わった学生のリアルな想いを発信していきます。

さらに、取材前後に行われる研修の中では、学生それぞれが持つ働くことへの不安や、取材の中で発見した仕事への想いを深堀りし、共有。取材を通じて、大学生それぞれに「働く軸」を発見してもらうのが、この取材インターン企画です。

2021年度は、茨城県内外の大学に通う1年生から3年生、12人が参加。今回は、企画への参加を通して、働くことや就職活動に悩む学生たちが何を見出していったのか話を伺いました。

インタビューに答えていただいたのは、2021年度ひきだし編集長・薗田星南(そのだ・せな)さん、えぽっくコーディネーター(学生副業)で前回の編集長・青木怜奈(あおき・れな)さん、那珂市企画部政策企画課地方創生グループ 主事・小園井希(おそのい・のぞみ)さんの三名です。

那珂市の企業さんを取材し、「働くこと」への想いを深める

―取材インターンひきだしは、どういった背景のもと生まれた企画ですか?

小園井さん:
様々な地域で同様の課題があると思いますが、那珂市も若い人たちの転出が多い地域です。だからこそ、この企画の背景には「若い人たちに、もっと那珂市に目を向けてもらいたい」という想いがあります。

参加した学生たちには「地域企業を取材し、みんなで意見を深め合う」ということを通して、那珂市の企業の魅力、街の魅力を発見してもらいたいですし、大手就職サイトの検索やインターネット情報ではわからない、働く人の持つ想いにも気づいてもらいたいですね。

―地域の企業さんたちにも、課題やニーズがあったのですか?

小園井さん:
地域企業の皆様にも「会社のことを発信したい」「若い人材に来てほしい」というニーズが以前からありました。「社員募集をしても、なかなか問い合わせが来ない」という声もあり、募集や採用に時間を割くのが難しいという背景もあったと思います。

今回の企画の中では、業種・業界がバラけるよう、那珂市内の企業さんにご協力を頂きました。業務が忙しく残念ながらご協力頂けなかった企業さんもいらっしゃいましたが、どの企業さんも、前向きな気持ちでひきだしに興味を示してくださいました。

学生が持つ「働くことへの不安」、那珂市が持つ「若い人たちに街に来てほしい」という想い、地域企業さんが持つ「自分たちの仕事を伝えたい、若い人材が欲しい」というニーズ。

それぞれの気持ちや思惑を、三者が手を取り合って良い方向に向かわせるのが、このひきだしという企画ですね。

就職活動への疑問と地方への興味から、取材インターンに参加

前回は編集長を務めた青木さんは、現在大学3年生。神奈川県出身で、東京都の大学に通いながらひきだしに参加。

―現在、えぽっくに学生副業で参加している青木さんは、前回は編集長として参加していたそうですね。青木さんがこの取組を知ったきっかけは何でしたか?

青木さん:
大学2年生のころ、インターン情報サイトで情報を探していたときに、えぽっくが掲載していた募集記事を見つけて応募しました。もともと、面白いインターン先がないかと、情報サイトをチェックしていたんですよね。

―さまざまなインターンがあると思いますが、ひきだしを選んだ背景は?

青木さん:
神奈川県藤沢市にある私の地元は、今ではシャッター商店街が目立つ場所。寂しくなっていく街の様子を見ていたので、地域をもっと盛り上げたいという気持ちがありました。そこから、「街づくり」の分野に興味を持つようになったんです。

そんな興味から、大学1年生の冬には長野県に短期移住。そのときに、地域が明るくなる理由の一つに、その地域に暮らす人たちの自由な働き方が関係していると思うようになりました。

そういった、「地域」「働く」というキーワードに興味を持つようになったことから、ひきだしへの参加を選びました。

それに、もともと日本の就職活動に疑問を持っていて、「地域」「働く」という両方の自分の興味にアプローチしながら、就職活動への疑問を解消できればいいな、と思っていたんですよね。

―「就職活動への疑問」を具体的に教えて下さい

青木さん:

高校生のころ、就職活動をテーマにした映画『何者』を観ることがあり、そのときに「なんでこんなに没個性化に進んでいくんだ!?」と強く感じた、という経験がありました。

みんな同じリクルートスーツを着て、一斉に会社説明会に行って、同じタイミングでエントリーシートを書いて、という、テンプレートのような就職活動に疑問を抱いていたんです。

その疑問に対して「自分もアクションを起こしたい」と思ったのが大学1年生のころ。当時は長野への短期移住でいろいろな体験ができましたが、2年生になってインターンを考えたときに、コロナ禍の影響があって、身動きが取りづらくなってしまった。

オンラインで行う取材インターン企画ひきだしに出会ったのは、そんなタイミングでもあるんですよね。

―地域企業や取材をテーマにしたインターンは他にも合ったと思いますが、その中でもひきだしに共感したポイントはなんですか?

青木さん:
メンバーの募集記事に書いてあった、えぽっく代表の若松さんが書いた「ひきだしをはじめる理由」にすごく共感したんです。記事の中でも特に、「就職する時には言われる「やりたいこと」は絶対に必要なの?という疑問です。誰と一緒に働きたいとか、得意なことを仕事にしてみるとか、色々あるべきじゃないか。」という部分ですね。

私自身、日本の就職活動に疑問を抱いていたし、ひきだし自体も「違和感、不安、疑問を抱えている学生のためのインターン」と書かれていて、就職活動の当事者としてすごく共感しました。

取材と冊子作りを通して、企業と学生の想いを発信する、というところも魅力を感じました。就活生や、そこに関わる人達に「働く」ということへの問題提起ができるわけですからね。

―記者ではなく、編集長として参加した理由は?

青木さん:
編集長は、記事を書くというより、インターンの中で記者と運営側の仲介役になったり、記者のモチベーションを高めたり、SNS発信したりする役だと聞いていたので、そっちのほうが自分に合っていると思ったんです。

実は、編集長という役割は、私の代が初めてでした。前例が無かったので、何もわからない状態で手探りで進めていましたね。

ワクワクしたから選んだ、編集長という役割

今年度の編集長を務めている薗田さん。鹿児島県出身で都内の大学に通う。現在大学2年生。

―今年度編集長を務める薗田さんは、どんなきっかけでひきだしに出会ったのでしょうか。

薗田さん:
私は今大学2年生で、「そろそろインターンを始めないとな」ぐらいのノリで、インターネットでインターン情報を探していました。定期的に探していたわけではなかったですが、コロナ禍の影響で就職活動が早まるかもしれないという話も聞いていましたからね。

そのときに、ひきだしの募集記事に出会ったんです。青木さんが書いた「ひきだしの目的」を読んで、すごく共感しました。

そこで早速申し込みをしたのですが、実は、記者として応募するつもりが、間違えて編集長として申し込んでしまったんです。

―応募の間違いから編集長への道に進んだのですね。

薗田さん:
読書も好きですが、どちらかというと文字や文章が好きで記者を希望していました。なのに、間違えて編集長用の応募フォームから申し込んでしまい、説明会の日になって、初めて間違えに気づいたんですよね。

でも、説明会では青木さんはじめ運営の方がいろいろなお話をしてくださったおかげで、「記者よりも編集長のほうが楽しそうかも」と思えてきたんです。

私が何か行動をする時、「自分がワクワクするかどうか」を大切にしているんです。なので、今回は編集長として参加させていただきました。

―とはいえ、編集長になることに不安は無かったのですか?

薗田さん:
編集という仕事はもちろん初めてだし、最初は自信が無かったです。でも、えぽっくの皆さまの雰囲気が良かったし、「自分のできることを使って、編集長をやってみよう」「できない部分はチームで補い合えばいいんだよ」と言ってくださって、編集長にチャレンジする自信に繋がりました。

取材インターン中も、えぽっくの皆さまが本当に応援してくれました。ひきだしに参加した大学生のみんなも、「こんなに面倒見が良いインターンは他にはない!」と言っていましたね。

青木さん:
取材や記事づくり、発信のことでわからないことがあれば運営チームがサポートしていきますし、執筆や編集の経験がなくても、一緒に雰囲気を共有しながらお仕事ができれば、十分編集長になれると思います。

みんなが抱く「働くこと」への不安や疑問

―ひきだしでは、自分が持つ働くことへの不安や疑問に対して向き合っていくこともテーマの一つになっていると思います。青木さんは、どのような不安や疑問を持っていましたか?

青木さん:
「働く」ということについては、実は「なんとかなるかな」と思っていました。家族が働いているところを見ていたので、イメージもできていたつもりです。

でも、父が働きづめで体調を崩し休職していた時期もあったんですよね。兄も、大手企業の営業として働いていましたが、朝5時に起きて会社に行って、夜中2時ぐらいに帰ってくる、という生活を続けていました。

そんな様子を見ていて、「そんな辛い思いをする必要あるの?」と思うようになったんです。だからこそ、大学1年生のときは「そうならないために」という思いで、試行錯誤しながら不安に向き合っていました。

―試行錯誤をしながら見つけたことは?

青木さん:
たとえば、長野に1ヶ月住んでいたときに出会った人たちは、みんな「自分の働き方」を持っている方たちでした。パラレルワークをしている人も多く、自分がやりたいことのために、複数の仕事を掛け持ちする人もいます。大学生のうちから起業する人も少なくなくて、「働き方は自分で作れるんだな」ということは実感していきましたね。

―昨年の取材インターン参加でも感じ取ったことは?

青木さん:
取材インターンとして参加したときに感じたのが、「働きたいと思える会社」に出会えれば、働く場所や地域、会社の規模や知名度に縛られなくても良い、ということです。取材インターンのなかで大学生同士出会って、地域企業さんを取材して、チームの中でいろいろな話をしていく中で、自分の価値観も良い方に変わっていくことを実感しました。

―今年度の編集長である薗田さんは、今まさに、就職を意識しだした時期だと思います。「働く」ということに対してどんなことを考えていましたか?

薗田さん:
取材インターンに入る前は、自分が働いているイメージが沸かなかったんです。漠然と「就職活動は大変なんだろうな」というイメージばかり持っていて、自分ごとにできていなかった。

アルバイトもしていましたが、その仕事はこれからも続けていきたいかと言われたら、そういうわけでもなかったですね。働くことを考えるにしても、「どの方向に足を踏み出したらいいの?」と進めずにいました。

大学生たちの取り組みを見守り、地域企業との調整なども担当した那珂市役所の小園井さん。生まれも育ちも那珂市。

―今回、大学生たちを見守っていた小園井さんの就活時代はどうでしたか?

小園井さん:
私のときは、大学三年生になったときに「そろそろ始めなきゃな」と思い、就職活動を始めていろいろなインターンをうけていました。製造系、事務系、小売などを体験しましたね。でも、思い返してみると、当時のインターンの体験の中では、どれも自分が働いている姿を想像しづらかったですね。

―取材インターンに参加した他の大学生たちは、どんな不安や疑問をもっていましたか?

薗田さん:
みんな就職活動のことは意識していて、だからこそ最初は「大手企業に入らなきゃ」みたいな気持ちで就職活動していた人も多かったですね。「自分のことを、企業の要望に対して合わせていかなきゃ」という気持ちもあったんじゃないかなと思います。

青木さん:
みんな「働くこと」「就職活動」ということに悩んでいるのは共通していました。

参加者は、茨城県内と県外の大学生が半々ぐらい。茨城県内出身の大学生は「地元企業を知りたい」という思いで参加してくれる人も多かったです。また、出身や住んでいる場所に関係なく、「取材や冊子づくりを挑戦したい」「とことん働くことについて考えてみたい」という人もいました。県内外の参加者が混ざることで、いろいろな視点で「働くこと」を考えることができたと思います。

取材と研修を通して「働く」に向き合う

―取材インターンはどのように進んでいくのでしょうか?

青木さん:
インターン期間は、実際に取材に行く前の「事前研修」から始まります。そのあと、オンラインで協力企業さんにインタビューする取材期間がスタート。取材の前後にもミーティングを設けて、取材内容や感想の共有を行います。そして取材期間が終わったあとに、取材全体を振り返る事後研修を行います。

これらの行程を経たあと、記事づくりや冊子づくりなどの編集作業を行います。編集長の仕事として、インターン期間中の情報発信なども随時行っていきますね。ちなみに、コロナ禍の状況をかんがみて、研修やミーティング、取材は、すべてオンラインで行っています。

―研修では、どのようなことをしていますか?

青木さん:
事前研修では、丸一日使って「今の自分は働くことについてどう考えているのか」を掘り下げていきます。企業さんを実際に取材する直前の研修では、その日どんなことを聞いていきたいか、何を目的に取材をするかをまとめていきます。そして取材を終えた直後も、その日のうちに、取材の感想や印象的だったところをシェアしていきます。

薗田さん:
取材直後の研修では、みんなで感想を共有していきますが、その時点ではまだまだ表面的な感想しか出ないんですよね。なので、取材をすべて終えたあとの事後研修で、自分たちが気づいたことを深堀りしていきます。

青木さん:
事後研修では、えぽっくのスタッフが学生たちの中に加わり、その方のガイドを元に、感想や気づきを深堀りしていきます。

それぞれの印象に残ったことに対して「以前はどう考えていたの?」「一歩深く掘り下げると、どんな気持が見えてくる?」「自分が思ったことを発展させたあとは、どういうアクションに繋げられる?」といった感じで、お互いにインタビューし合うように、意見を共有し、自分と向き合っていく。

一通り話したあと、まだ深堀りが足りないときは、もう一度トライ。それを3回、4回と繰り返すことで、「働くことに漠然と不安があった」という自分の考えが徐々に具体化されていき頭の中がクリアになってくる。

私にとって、この時間が一番満足度が高かったですし、参加していた学生たちも同様だったと思います。

―研修での深堀りは、記事づくりにも活かされるのでしょうか?

青木さん:
自分たちと同じ悩める大学生たちに届ける記事を作るために、私たちだからこそ作れる記事ってなんだろう?と考えていく必要があります。

だから、事後研修の中で、取材のときに印象深かったことを深堀りしていくことが、読者に伝わる、共感してもらえる記事づくりができます。

薗田さん:
感想を言い合い深堀りすることで、なぜそう思ったのか、最初はこう思ったけど実は違うのでは、みたいなことが見えてくる。だからこそ、企業を紹介する、記事を作る、ということが、自分たち「働く軸」を考えることにも、いい記事を作りにも繋がっていきます。

小園井さん:
参加した大学生たちは、取材前の研修から熱が入っていたし、取材前のミーティングでも「聞けることは全部聴こう!」という熱意も感じられました。

それに、こうやってしっかりと那珂市の企業を調べてもらうことで、那珂市のことをもっと興味を持って頂けたらいいなと思いました。

青木さん:
インターン中は何度も振り返りながら、届けたい相手のイメージを固め、「そのためにはどんな質問が必要なのか」「どんなことを書けばいいのか」をしっかり話し合っていました。質問を考えるときも、「本当に読む人に刺さる質問なのか」という問いかけを何度も繰り返していましたね。

今年は、私の代以上に、読み手にグサッと刺さる記事づくりができていると思います。

取材インターンから見出す、「働く軸」

―取材を終えてみて、参加した学生たちは、それぞれどんな感想を持っていましたか?

薗田さん:
期間中、私は取材を上手く進めることばかりに意識が行ってしまい、不安と戦いながらの取材期間でしたね。でも、みんなで学び合う時間は、とてもいい時間でした。

ひきだしに参加する前は、漠然と「就職活動は大変そうだな」と考えていました。でも、今回取材した5社それぞれが、働くことを楽しそうにお話されているのを聞いて、「私も早く働きたい!」と思うようになったんです。

中には「ずっと学生のままでいたい」という人もいると思います。でも私は、社会人の方が学生より自由度が高そうだし、楽しそうだと思えるようになりました。

青木さん:
まだ取材を終えたばかりなので、いきなり何かが変わるということは難しいかもしれませんが、少しずつ変化していく人は現れると思います。

私が編集長として参加した代以前にも、参加者の中には、ひきだしをきっかけに休学をして新たな挑戦を始めた人や、働くことについてきちんと見つめ直そうと決めた人もいたそうです。「とりあえず安定しているから公務員になりたい」と考えていた人が、取材先で出会った企業さんに就職した、ということもあったそうですよ。

―まだ編集長としての仕事は残っていますが、薗田さんはインターンを通してどんな「働く軸」を見出しましたか

薗田さん:
いままでの会社や仕事のイメージでは、「私たちが会社に合わせて考える」「私たちが会社に合わせてレベルアップする」という、主語が会社にある状態だったんです。

でも、インターンを通して、「自分がやりたいことを通して成長していこう」「自分がやりたいことを意識して仕事に向き合おう」と、主語が自分になっていきました。今は、それが私の「働く軸」ですね。

―前回は編集長として、今回はインターンを見守る役として参加した青木さんは、働く軸をどう考えますか?

青木さん:
ひきだし運営の中でも「働くことは恋をすること」と言われていて、私も本当にそうだなと思います。

去年、編集長としてひきだしに参加し、えぽっくという会社に出会い、会社のビジョンや事業内容にすごく共感しました。その時が自分にとって「恋に落ちたな」という感じだったんです。だからこそ、取材や冊子づくりを終えたあともこのまま関わりたいと思い、長期インターンとしてえぽっくに参加しました。

就職を考えるとき、給与や福利厚生も大切ですが、そういう恋のような衝動を信じて会社にアプローチしていくことも大切だと思います。

実は、「働く軸は?」と聞かれたときに、私はまだぱっと答える事ができなんです。

というのも、「働く」の前には「生きる」があって、自分の人生の中で実現したい事があったとき、その場所は会社でも、地域コミュニティの中でも良いのではと思うんですよね。

仕事の中でも、私はキャリアコンサルティングの分野に興味があるし、デザインの分野にも興味がある。自分の人生の中で「これをやりたい」と思ったときに、その時々の仕事が変わっていってもいいと思うんです。

自分の人生の中で「こんなことをしたい」と思ったときに、それに合わせて働くことへの軸が変化してもいいのではと思っています。

悩んでもいいし、立ち止まって考えるのもアリ

―今回編集長として参加して、チーム全体を通して見てきた薗田さん。自分と同じ大学二年生の就活生へのメッセージはありますか?

薗田さん:
就活生にはいろいろな悩みや不安がありますよね。私にももちろんあります。

さっきも言いましたが、このインターンを経験したからこそ、「ずっと学生でいたい」ではなく、「社会に出てたからこそ、いろいろなことにチャレンジできる」と思うようになりました。

「働く人の話を聞いてみることで、働くことへの希望や楽しさが見えてくる」ということを、みんなに伝えたいですね。

―二度にわたり、異なる立場から取材インターンに関わってきた青木さん。「働くこと」に悩む大学生たちに、何を伝えたいですか?

青木さん:
私の周りで就職活動を始めた学生たちのなかでも、周りに流されるがまま就職活動を始めてしまった人、自分が何をしたいのか分からなくなってしまった人など、焦りや悩みを抱えている人は多いです。

でも、そんな方たちにこそ「悩んでいいんだよ」と声をかけてあげたいです。そして、せっかく「悩む」という機会があるなら、一度立ち止まって、じっくり「働くこと」に向き合うのもありだと思います。

立ち止まって考えることで見えてくる将来があるはず。私たちが作る記事も、そういった人たちが、自分自身の働く軸を考えるきっかけになっていけばいいなと思います。

―街に関わる職員として、小園井さんはひきだしという企画を通して、どのように那珂市のことを知ってもらいたいですか?

小園井さん:
那珂市での就職を考えたときに、「この街にどんな企業があるの?」と思う学生さんは多いと思います。

でも、大学生のみんなが作った冊子を読んで頂いたり、地域企業と出会う取り組みに参加してもらったりしながら、那珂市のことを少しずつ知って頂けたらと思います。

那珂市は住むにはとてもいい場所ですし、素晴らしい企業もあります。このひきだしの企画をきっかけに、この地域のことを少しでも身近に感じて頂けたらと思います。

※「ひきだし」対談記事はここまで


12/20開催!【地域で自分らしい働き方を考えよう!】インターン報告会

2021年12月20日(月)に、本インターンシップの報告会をオンラインで開催します。「地域での自分らしい働き方」を一緒に考えてみませんか?ご参加方法と詳細はこちらからご覧いただけます。ご参加お待ちしております!


ひきだしで取材させていただいた、那珂市の企業さん5社

最後に、2021年度のひきだしで取材させていただいた那珂市の企業さん5社を、取材のエピソードとともにご紹介いたします。

山﨑工業 株式会社

全文記事はこちらから

薗田さん:
今回の取材インターンでは一回目の企業さんでした。初めてで学生のみんなもガチガチに緊張していたのですが、アットホームな雰囲気で迎え入れてくださいました。

青木さん:
私達と近い世代の方もいれば、30代から50代ぐらいの方もいて、ひとつの家族のような雰囲気でしたね。

薗田さん:
人づての紹介で社員と出会いながら、いい雰囲気を作りながら会社として人が増えていったそうです。

雰囲気の良さをいいなと思う一方で、学生によってはもう少し「仕事は仕事で割り切りたい」という人もいました。実際に就職する前に、会社ごとに持っている社内の人と人との距離感があることを知れたのは大きいですね。

JPC株式会社

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青木さん:
企業の方が「自分が人生の主役なんだから、他の人のことは気にしなくていいんだよ」とおっしゃっていました。それにすごく感銘を受ける学生が続出して、取材の振り返りのときもその話題が出ました。

その言葉通り、自分が働きやすい働き方を選択できている方が多い会社で、「自分が人生の主役だから」ということを体現されているんだなと思いました。

株式会社イングトップ

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薗田さん:
Webサイトがない企業さんで、下調べができずに少し焦りました。でも、事前に頂いていた企業さんのプロフィールシートなどを見ながら、みんなで会社のことを予想しながら取材に挑みました。

イベント業界って華々しいイメージもありますが、被災地の炊き出しにも協力し、現地で凄まじい光景を見てきたというエピソードも聞かせていただきました。華やかさとは違う側面を知ることができるのも、取材ならではですね。

国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 量子エネルギー部門 那珂研究所

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薗田さん:
専門性が高い分野で、みんなで調べてお互いに教え合いながら事前準備しましたが、やっぱり分からないことばかり。でも、「それが学生のリアルだよね」と実感することができました。

研究の仕事はゴールがすごく遠くにあり、そこに対して研究を続けるモチベーションの保ち方が印象的でした。長い期間の中でも、身近な目標を立てながら少しずつ進んでいくんだそうです。それが「私たちの就職活動にも当てはまるよな」と思いながら話を聞いていました。

社会福祉法人実誠会 なるみ園

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薗田さん:
仕事としては想像はしやすいのですが、障がい者との関わりを持ったことがある学生もおらず、「仕事は想像はできるけど実際のところがわからない」という感じでした。

取材では、対応してくださった副所長さんが「障がい者の方はいつでも純粋な方が多いです」とおっしゃっていました。入所されているみなさまは、嬉しい気持ちも、マイナスな気持ちも素直に現れやすいのだそうです。

入所者に接するスタッフさんも、嬉しい気持ちや嫌な気持ちを、ダイレクトに受け取っていく。そこに、仕事の大変さややりがい、があるのだと思いました。

青木さん:
「この仕事が好き」というスタッフさんが多くて、「この仕事が好きだから、休みたいと思ったことがないんですよね」という姿勢が印象的でした。取材に参加した学生たちも、そんな姿勢を「素敵だな」と言っていました。

本記事について

那珂市では、「人と地域が輝く安心・安全な住みよいまち那珂」をまちづくりの目標に掲げており、その取り組みうち、「ここで働きたい」いぃ那珂プロジェクトの一環として、茨城県内外の大学生を対象にインターンシップ事業「ひきだし」を開催しました。

若年層を中心とした地元企業就職と転入増の促進には、地元高校や大学・地元企業との連携が必要です。

本事業は、インターンシップなどマッチングの機会の提供や、独自の事業や技術を持つ事業所への取材から見いだした魅力発信を通じて、近隣や東京圏等の大学生の市内企業への関心を高めることを目的としています。

この記事は、そんなインターンシップ事業の一環として、そして皆様に事業内容をより良く知っていただくため作成いたしました。